伝承 里山の正月行事

1月3日は宇治市東笠取別所出(べっしょで)地区の伝承行事の日。田の神、山の神、祖先の霊と言われる歳神さまを迎えるため、注連縄を御神木に飾り付けます。その樹は垂乳の森にある樹齢430年の杉の樹です。

 

午前10時、森の入り口に集合。メンバーは別所出の男衆7人です。各家から持ち寄った稲藁、鎌、鋸などの道具を背負って、森を歩くこと約20分。ほんの少しの距離なのに老杉のそびえる森の奥は別世界のような静けさ。

長老のリードでさっそく作業開始です。

 

 

 

 

 

 

 

持ってきた藁を石に当てて叩いて柔らかくほぐして整え、素早く綯います。細やかな手技を後輩に伝授するシーンも。

1時間ほどで完成。大樹に飾り付けたら長老の合図で新年の祈りを捧げます。

垂乳の森は東笠取と西笠取に点在する七つ森の一つ。この杉には、こんな民話があります。

お乳が出ないため赤ん坊を育てられないと悩み苦しんでいた婦人が、この杉から滴る水を飲むと、出が良くなったとことから、垂乳の森と呼ばれるようになったとか。今は静かな森ですが、かつて別所の子どもたちはこの森を歩いて小学校まで5キロの道のりを通っていたそうです。